関係者からのメッセージ

2010年5月17日

はやぶさ君きっと連れて帰るから

回収チーム 並木 道義

はやぶさ君は2003年5月9日に鹿児島県の内之浦から旅立ったのは皆さんもよく知っていると思います。
実はその前の年2002年、既に活動を開始しているチームがありました。その年の1月アフリカ、モーリタニア国内のサハラ砂漠へ向かった「はやぶさ回収チーム」は、はやぶさ回収のための予備試験を行っていました。モーリタニアの首都はヌアクショットという町で、アフリカの西側海岸線の近くにあります。実験を行った場所は首都から東へおよそ800km離れたサハラ砂漠の中、アユンという町のある場所の近くで行われました。実験場所が遠いことで運転手付きのレンタカーを借りて移動が行われましたが、遠すぎて1日では到着できず、途中星空の下でビバークしたほどです。また、ここはパリ・ダカールで知られているラリーが通る砂漠でも有名な場所です。

2005年度にイトカワに到着した「はやぶさ」は、数々の観測、試験を終え2007年度に地球に帰還する予定でしたが、イトカワ離脱後に起こったアクシデントにより、地球帰還は2010年6月に変更されました。

「はやぶさ」帰還が2年後にせまった2008年7月、3年ぶりに打ち合わせ会議が行われ、「はやぶさ回収チーム」が再編成されました。本番前にオーストラリアの回収地域で電波の受信試験を行う事がきまり、その模擬試験を2009年1月に宇宙研に隣接している国有地で地上から100mの高さに模擬装置の吊り上げ試験が行われました。

オーストラリアでは、最終的にパラシュートで降下してくる回収部からの電波送信を模擬するため、現地で150mの高さに模擬装置を吊り上げて受信状態を確かめる試験を1年前となる2009年6月に行いました。その後、4班に編成された回収チームには「はやぶさ」からの電波を受信するためのアンテナの組立練習が行われ、本年4月には回収チーム全員により、再び宇宙研に隣接している国有地に於いて全てのアンテナの組立試験が行われました。

回収部からの受信もパソコンによる半自動追尾となり「はやぶさ」が電波を出してくれれば必ず回収は成功すると確信しています。

現在は、5月上旬にオーストラリアへ向けて回収班全ての荷物を輸送する準備が整った所です。
「はやぶさ」君きっと連れて帰るから・・・・・。


筆者紹介

並木さんは、大気球を、より高く、より長く、より安定して飛ばすことに情熱を注いでこられました。この気球、もちろん地上に下ろして回収するのですが、海の上でも山の中でも、探しに行って回収する技術を買われて、カプセルの回収チームに入ったわけです。
南極にも行かれて、気球の実験をしています。酒席で聞く、その実験・回収の物語は一冊の本のように面白いのです。(ばあや)

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