関係者からのメッセージ

2010年6月12日

「はやぶさ」よ。ご安全に

後方支援 米倉 克英

昨年11月、月周回衛星「かぐや」の追跡管制運用、後作業も無事終わり、次に私を雇ってくれるところはあるのか?と不安に駆られていた頃、「はやぶさ」プロジェクトマネージャーの川口先生からお誘いを頂き、カプセル再突入に係わる一連の作業について後方支援でお手伝いすることになりました。

そこから怒涛の作業開始です。
全体作業計画の確認、JAXA内安全審査や、豪州政府関係者にも参加頂いた「カプセル再突入・回収準備確認会(Reentry & Recovery Readiness Review)での事務局対応とめまぐるしく作業に追われる毎日でした。

「はやぶさ」プロジェクトとしては、打上げ前(旧:宇宙科学研究所時代)に様々な安全審査(当然、カプセル再突入に係わる作業も含む)に合格して打上げられたわけですが、なにせ約7年も前のことですし、「はやぶさ」の状況、周囲の状況も変化しているため、当時の状況から変化がどれだけあるのか、最新の状況での解析結果や運用結果から安全にカプセル再突入・回収を行うことができるのかということを再度詳細に洗いなおし、JAXAとしての安全確保に対する審査を2010年2月に受け直しました。この結果、打上げ前の安全審査結果を覆す要素はなく、現況を踏まえた計画でカプセル再突入・回収に係わる一連の作業を進めてよいとの判断となったわけです。

しかし、これで全てではありません。
作業が進められることが決まっても、実際にスケジュール通りに準備が進行しているか、再突入・回収までに準備が確実に整うかということに対して、各分野の専門家の方々や豪州政府関係者に確認して頂くために確認会も2010年3月開催しました。
全体計画はもちろんのこと、再突入・着地シーケンス、「はやぶさ」追跡管制運用のための各種システム準備状況、着地区域解析結果、再突入後の方向探査方法やこのためのシステム準備状況など、各分野における準備が順調に進んでいることが確認されました。

間もなくカプセル再突入・回収の本番です。
安全確保にやりすぎということはありません。チーム一同、気を引き締めて最後までミッションを遂行します。
どうぞ皆様の応援のほどお願いいたします。


筆者紹介

米倉さんは「かぐや」の追跡管制システム開発・運用を取りまとめた手腕を「はやぶさ」の後方支援でも申し分なく発揮し、安全審査や確認会を円滑に実施して「はやぶさ」フィナーレへの花道を準備してくれました。今も「IKAROS」では追跡管制・スーパーバイザとして日々新たな伝説の誕生を指揮しています。(delta-V)

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