関係者からのメッセージ

2010年7月28日

「はやぶさ」テレメ、ロックオン!

地上系データ伝送システム担当 山下 美和子(富士通エフ・アイ・ピー・システムズ株式会社)

私が一番緊張する瞬間。
7年前の5月、M-Vロケットで打ち上げられた「はやぶさ君」が最初に日本上空を通過する時、「はやぶさ君」がデータを下ろしてきます。私達が作成したデータ伝送システムは内之浦、臼田のアンテナで受信した「はやぶさ君」のデータを相模原の管制室に伝送し、共通QL(QL:クイックルック 「はやぶさ君」の各機器の温度や状態を表示するシステム)で「はやぶさ君」の状態を表示します。これを関係者が固唾を呑んで見つめています。この時が、私が一番ドキドキする瞬間です。動作しなかったらどうしよう、「はやぶさ君」の状態を皆に見せれるだろうか?? 

その時、受信局から「はやぶさテレメ、ロックオン」の声が聞こえ、共通QLに「はやぶさ君」の状態が表示されました。私はほっとしました。よかった無事に動いて。そして「はやぶさ君」も元気で。今まで試験時に充分動かしてはいるので、動くのは当然なのですが、やはり一番緊張する瞬間です。

それから7年間、イトカワのタッチダウンの時も、復活してデータを下ろしてきた時も、共通QLは皆さんに「はやぶさ君」の状態を表示してきました。

地球帰還当日、カプセルの電源を入れた時もすごく緊張しました。無事に電源が入ったと表示したときは本当に感動しました。

その数時間後に「はやぶさ君」からのデータは途絶えました。最後の表示を見たとき、私も悲しくなりました。もう「はやぶさ君」のリアルのデータは下りてこない...。

でも、「はやぶさ君」からのデータは下りてきませんが、私達の作成した共通QLでは7年間の保存してあるデータを見ることができます。「はやぶさ君」にいつでも会えます。

ISAS/メーカの方々の「はやぶさ君」への思い、一丸となって成し遂げた今までの奇跡と成功は素晴らしい事だと思います。「はやぶさ君」のプロジェクトに参加できた事は感謝の気持ちでいっぱいです。

「はやぶさ君」お疲れ様でした。そしてありがとう...。


筆者紹介

「はやぶさ」地上系のデータ伝送システムや共通QL(状態表示システム)を開発・保守された富士通エフ・アイ・ピー・システムズの山下美和子さん。
山下さんが担当された共通QLはからは様々なドラマが生まれました。運用室には6/13の最後のQL画面が残り、そこだけ時が止まったかのようです。ちなみに「アラレちゃん」の愛称で親しまれる山下さんは宴会副部長(部長は先日ご紹介したMHIの高見さんです)という顔もお持ちです!(delta-V)

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