関係者からのメッセージ
2010年5月20日
「はやぶさ」は入社を待っていてくれました
カプセル方探4班 班長 平原 大地
入社して最初の年、「はやぶさ」カプセル回収チームのお誘いが来た。方位探知のためのアンテナをオーストラリアの砂漠に設営し、カプセルからのビーコンを捕捉する仕事だった。小惑星サンプルリターン計画の検討がされ始めた頃に生まれた自分が、地球帰還が遅れることでメンバー決定時に入社でき、26歳の誕生日を迎える6月に現地で地球帰還の任務を担当する…運命を感じた。
「班長」最初に聞いた時は驚いた。地上系、通信系の研究開発員として採用された自分が方探班として適性があることは理解できたし光栄だった。しかし、班員は皆年上で経験・知識も格段と優れている。開発時期からいるメンバーに至っては憧れの対象で事実上裏番である(みっちり色々教わりたいぐらい…)。人選の意図を理解できたのは少しあとだった。相模原の職員は年を重ねるほど併任・兼任が増え時間が取れない。準備や班状況の把握には若手のほうが都合よく、チーフからも司令が出しやすい。それらが専門性を考慮した上で検討されているわけだ。班長として責任範囲をしっかり遂行し+αを広げていきたい。
肝心の本番作業は1人でも実施できるぐらい準備・訓練し、同様のメンバー3人1組で分担・補完している。「ビーコンが問題なく発信したら必ず捕捉する」これが班の最優先事項。広い宇宙を旅してきた「はやぶさ」を砂漠で行方不明にするわけにはいかない!!
JAXA統合後7年目、相模原で一番進んでいる印象だった月・惑星探査グループでさえ、研究者や開発者が事務処理や調整業務の多さに悩み、経営管理側もクオリティやノウハウ維持のために外部委託ができない文化に悩んでいる。そういう意味でも「はやぶさ」は挑戦となるプロジェクトだ。教育職、一般職、派遣職員であれこれ話しながら自分たちの仕事を思い考えている。これらの経験も「はやぶさ」が託してくれたものの一つだから、大切にして今後に生かしていきたい。
筆者紹介
平原(ひらはら)さんは宇宙・航行エレクトロニクス、特に通信関係の専門家です。「はやぶさ」では、26歳の若さにして方探(方向探査の略語)チームの 班長としてご活躍されています。そのお名前の通り、豪州の大地を駆け巡って必ずカプセルを見つけ出す、と語ってくれた強い眼差しが印象的でした。(IES兄)
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