関係者からのメッセージ

2010年6月3日

再会

国際調整担当 山崎 秀人

因果とはあるのでしょうか?「はやぶさ」とは初対面ではなく、「再会」でした。
私は旧宇宙開発事業団(NASDA)へ入社して、配属は国際部でした。国際部で主に国際調整や協定の締結のお手伝いをしていたのですが、入社してすぐに、旧宇宙科学研究所(ISAS)、旧航空宇宙研究所(NAL)、NASDAの3機関統合が決定したので、ISASから「はやぶさ」の豪州政府との国際調整について、当時の上司とともに相談を受けました。
その時に覚えているのは、小惑星からサンプルリターンを狙うなんて、「夢のあるユニークなミッションだなぁ」ということでした。それから10年まさか自分が「はやぶさ」の帰還に関して関われるとは夢にも思っていませんでした。

「はやぶさ」は、科学技術はISASの方々がメインであることは言うまでもありませんが、旧NALの方々も要素技術の経験から技術支援を、旧NASDAは大規模システム開発、国際調整等の経験からのプロジェクト管理の面でサポートさせてもらっています。そういう意味では、「はやぶさ」は、異なる3機関出身者が手を携えて推進しているプロジェクトというところも特色かと思います。

「はやぶさ」は立上げ時は、ISASの「工学実証=研究」の側面が大きかったではと思いますが、現時点では、国家レベル(言いすぎですかね?)のプロジェクト化していると思います。それに伴い、「研究」とはかけ離れた業務が発生してきて、私のようなプロジェクト管理系の人間の出番ができてきたのかなと思っています。

私が具体的に携われたのは、帰還フェーズからですが、豪州との着陸許可交渉、日豪の情報連絡の体制の構築、日豪での検疫、通関、予算管理、契約とやることが目白押しで、一人前では回りきらないほどです。

イトカワのサンプルに対する豪州の検疫対応(「イトカワは宇宙から帰還するので、外国からの帰還ではないけど、そもそも法律上の輸入になるの?」など想像できますか?)など、毎日前例のないことに対応しており、頭を悩ましていますが、正直、心地よい痛みです。

それは、現場の「熱」を感じることができるからです。相模原キャンパスで本業務に携わっている方は、それぞれの役割に関して、情熱と誇りを持ってとりくまれていることがヒシヒシと感じられます。そんな方々と共に、帰還のハイライトに立ち会えることを私も誇りに思っています。

また、「はやぶさ」は多くのファン(サポータ)の方の「熱」を感じることのできるプロジェクトであることも実感しています。帰還が目前に迫り、多くの方々から応援のメッセージをいただき(応援ありがとうございます)、日に日にその「熱」が大きくなっていくのを感じます。多くの方々に応援いただけるプロジェクトに関わることができて、喜びとともに責任も感じます。皆さまの「熱」とともに、「回収」という総仕上げを行いたいと思います。

最後にとかく宇宙開発は「敷居が高い」と思われがちですが、私のように技術のバックグランドがなくても貢献できる「場所」が宇宙開発にはたくさんあります!ぜひ皆さんのご参加をお待ちしています!(最後はリクルートみたいになってしまった。。。。)


筆者紹介

山崎さんは、「はやぶさ」カプセルの豪州着陸に際しての国際調整を担当しています。
旧NASDAで培われたプロジェクト支援と国際調整の経験を存分に発揮し、豪州との折衝から省庁回りまで、研究者が苦手な類の仕事を強力に推進してくれています。宇宙開発にはこの「営業」的スキルが不可欠です。ウーメラでカンガルーとラグビーをすることを夢みているそうです(delta-V)

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