関係者からのメッセージ

2010年6月12日

はやぶさとハヤブサ

カプセル回収班 班長付 杉浦 枝里子

虹

昨年の6月中旬、JAXAでは「「はやぶさ」再突入までいよいよ1年を切りました!」とますます士気が高まってきていたころ、私は「はやぶさ」の存在すら知りませんでした。その直後、去年の6月下旬にJAXAの「はやぶさ」プロジェクトのサポートメンバーとして参加することになったのですが、「はやぶさ」プロジェクトがどういうものなのか、私の役割がいったい何なのかまったくわからない状態でのスタートでした。
そんな中で時間だけが過ぎて行き、一時は「このままここにいてもいいのかな?」なんて思いながらも、プロジェクトを支援する立場にあるはずの私が逆に國中先生をはじめとするプロジェクトメンバーの皆さんに助けていただきながら、気がつけば現在はオーストラリアの砂漠に通う日々を過ごしています。

「はやぶさ」カプセル回収チームの先発隊は5月29日に成田から出発しました。翌朝パースに到着し飛行機を乗り継ぎアデレードへ、そこから数百キロ離れたウーメラ村までレンタカーの旅です。その途中100kmほど進んだところにあるカフェで休憩していると、東の空の一部が七色に染まり始め、あっという間に端から端までの半円の綺麗な虹になりました。その美しさにため息をつく暇もなく、今度はその外側にももうひとつの虹がかかり始めました。

ハヤブサ

オーストラリアでの回収作業はこのように幸先のいいスタートを切ることができたのですが、現地ではさらなるサプライズが待っていました。事前に日本から送ってあった機材を保管してもらっていたオーストラリア空軍の倉庫施設内に、なんとハヤブサの一種であるオーストラリアチョウゲンボウのつがいが住み着いていました。「はやぶさ」のカプセルを捕まえるための機材が入った大きなコンテナが20個以上並ぶ上で、まるでそれを守っているかのようにハヤブサが住んでいたのです。二羽で仲良く羽ばたく姿はとても美しく優雅でした。

プロジェクトを進めていくにあたり、オーストラリア・米国両国の政府や関連機関だけでなく国内外問わずいろいろな人々からご協力、ご支援いただき、応援していただいていることは知っていたのですが、この二つの出来事にはオーストラリアの自然界からも応援されているような気持ちになりました。

現在はそんな気持ちを大切にしながら、チーム全員がはやぶさくんにおかえりなさいを言ってカプセルを受け取り、無事日本に帰国できるように現場支援をさせていただいています。

13日は、どんな困難にもあきらめずに立ち向かいつつ表向きは涼しい顔をして凄いことをやってのけてきたはやぶさプロジェクトチームと「はやぶさ」をご支援・応援してくださっている人たちの願いがどうか叶いますように・・・


筆者紹介

杉浦さんは、「はやぶさ」カプセル回収班班長付として、オーストラリアでの回収班展開のロジスティクスを担当しました。
1年前から「はやぶさ」カプセル回収運用の準備に携わり、オーストラリア各地に展開した回収班のロジスティクスを、ホテル手配から物資輸送・調達、車の運転にいたるまで一手に引き受け、先発隊としていち早く現地入りして円滑な回収作業を支えてくれました。(delta-V)

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