関係者からのメッセージ

2010年6月13日

電波方向探査班としての2年間。

電波方向探査班チーフ 川原 康介

豪州に着いた。
これから約3週間の回収オペレーションが始まる。
この時をどれだけ待った事か。。。

いつ回収オペが延期になるか分からない状況の中
はやぶさ帰還をただ信じてこれまで粛々と準備を整えてきた。

わたしが回収チームの一員として声をかけられたのは、
今から2年程前の事。
M-Vロケットや観測ロケットの追跡業務をやっていた関係上、
回収班員としてすぐさま白羽の矢が立った。

班員の一人に過ぎなかったはずが、
会議を重ねて行く中で、
徐々に資料を作成し説明するようになり、
いつの間にか電波方向探査班の取り纏め役となってしまった。
チームのみんなからは「チーフ」「チーフ」と呼ばれている。
ベテランの方々や偉い先生達からも同様に呼ばれているため
少々違和感を感じていたが、今では何の抵抗なく返事している自分がいる。
愛称みたいなものなのだろう。

私が宇宙研に配属されたのは2002年。
その翌年にM-Vロケット5号機が打ち上げられた。
ロケット追跡が本業であったことに加え、
わたしにとっての初めての大型ロケット打上げであったため、
その中に載せられている探査機が持つ高い可能性には気付く事もなかった。

宇宙研の衛星や探査機は軌道に投入された後に名前が付く。
「はやぶさ」も打上げ前はMUSES-Cと呼ばれていた。
この名前は、ロケットフライトオペレーションの際に行われる実験班員からの
応募により決定する。
また、パロディー編としてユニークなネーミングも同時に募られる。

「れいめい」で良く知られている大先生が
「しょうわく4年生」と"えんぴつ"で書いていたのを覚えている。
なるほど、小学生と小惑星を掛けたのか。

「はやぶさ」も今年で7歳を迎えた。
小学生も立派に卒業し、今有終の美を飾ろうとしている。
不運にも地球帰還が3年程度遅れる事となったが、
もし予定通りに帰還していたならば、
今回のように密接に関わることは出来なかっただろう。

今、自分に与えられた貴重な機会に感謝するとともに
回収の可能性を少しでも上げるべく万全を期したいと思う。


筆者紹介

川原さんはミッション機器系グループの開発員として、飛翔体搭載用アンテナの開発、レーダによるロケット追跡業務などを行っています。「はやぶさ」では電波方探班の頼れるチーフです。(IES兄)

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