関係者からのメッセージ

2010年6月29日

微力だけれど

カプセル回収チーム測量班・ヘリコプター班 河野 まり子

以前、衛星開発の現場にいたことがあり、宇宙研で働くようになってからはMUSES-C搭載機器の開発に伴う苦労を間近に見ていたこともあって、MUSES-C(はやぶさ)は遠い存在ではありませんでしたが、自分がカプセル回収チームに加わることになるとは夢にも思っていませんでした。

現地では目の前にある測量班・ヘリ班の作業に取り組んでいると日々があっという間に過ぎてゆき、オーストラリアの地で多くの人の注目を浴びているプロジェクトに関わっているという実感や高揚感がまるでありませんでした。
もちろん、きれいな南半球の星空に感激したり、扱っていた測量機器が予期しない動作をして慌てたり、カプセル捜索のために飛び立つヘリを祈るような気持ちで見送ったり、というような心の動きはあるのですが。

「またとない経験をさせてもらっているのに…私は冷めた人間なのかな」
最初はそんな風に感じました。

でも、
「“特別な場所で特別なことをしている”という意識が持てないのは、それだけ仕事に集中しているから、普段と変わらない気持ちでやるべきことに向き合えているからじゃない?」ということに気づき、それでいいのだと納得。
だって、私は“注目されるようなプロジェクトに入ってオーストラリアに来た”のではなく、“仕事をするためにここにいる”のだから。

メーカに入社してから今日に至るまで、多くの方に育てていただきました。
「与えてもらった経験の場を通して得たすべてを持って自分の役割を果たせた」と、自信を持って言うことができます。
そして、微力ではあるけれど「はやぶさ」プロジェクトに貢献できたことを幸せに思っています。


筆者紹介

河野さんはNECシステムとして「GEOTAIL」に参加され、宇宙研にいらしてからも技術的な仕事に関わり、機械CAD、アライメント等、地道かつ着実な仕事をされてきました。
「はやぶさ」回収ミッションでは、全方探局の設置場所を周ってGPS測量を行う「ウーメラ 点の記」において、地図好き&記録魔の本領を発揮して方探局の方位出しに貢献してくださったほか、コントロールセンターではヘリとの連絡役を務めて下さいました。(ヘリ班長)

もっと詳しく

プレスキット

関連ページリンク